第10号 サポートセンターコンペ

 先日、「某県のNPOサポートセンター」の運営企画コンペがあり、当団体も地方でのサポートセンターのあり方に以前から疑問と不満を持っていたため、県外であったが参加してみた。審査員からの質問でビックリすることがおきた。驚いたことに、団体の発表にもかかわらず、代表者の個人の執筆活動を持ち出し、延々と質問し始めたのだ。これでは、代表者の小学校の卒業文集に「パン屋さんになりたい」と書いてあるのを「もともと営利の気持ちが強い」と追及するようなものであり、我々も傍聴の方もこれには唖然となってしまった。
 このようにNPOのコンペとはどういうものなのかが行政サイドでもまだ良く分かっていないのが現状である。他の自治体がコンペだからという理由で、ただ県外の著名な審査員を呼んできてそれを行っても、そのコンセプトがはっきりしていないと、結局やってもやらなくても同じということになってしまう。実にお粗末な結果であった。
 このように、行政からNPOへの委託業務はどんどん増えてきている。しかし、その選定の方法は必ずしも正しいとは言えない。特に中間支援団体としてのサポートセンターは、その地方のNPOの成否の鍵を握る重要なキーマンである。支援する側に、成功させる実績と実力がなければ、その地方のNPOの活性化は期待できない。「地元優先」とか「地域で一から作っていこう」などという甘い考えが、結局他の地域から10年以上遅れることになる。行政の職員は、委託するお金は市民の汗と涙の結晶である「税収」から捻出していることを忘れてはならない。使い切ることにばかり熱心で、如何に効率よくそのお金をリターンさせるかということは何も考えていない。NPOが活性化すれば税収も伸びるという考え方が必要だ。そのためには、ただ与えてもらうだけのNPOではなく、税金を納め、雇用を創出できるNPOを育てるべきである。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成15年7月)

http://www.iva.jp