第30号 団塊世代の定年−非営利セクター成長の鍵

最近、定年前後のNPO活動に関する講演や記事の依頼が増えている。いよいよ団塊の世代が定年に近づいているということと、公的年金の支給が六五歳からなので、定年の延長が段階的に実現するまで、収入0の空白の期間が有るというのが原因のようだ。
 確かに、私どもが毎月開催しているNPO関連のセミナーを受講される方も、圧倒的に男性、特に定年前後の方が多く、そのあたりが最もNPOに関心のある層といっても過言ではないだろう。いつかは迎える定年。それとともに定年後の生活のことを考えると、まだまだ盆栽いじりやゲートボールは早い・・・ということなのだろうか。年金の支給までは働きたいという方もかなり増えている。
 NPOの場合、ほとんどの団体で定年制はない。活動したいだけできるのが特徴だ。しかし、それに見合った収入はなかなか難しいので、趣味の範囲で活動を続け、実益にはこだわらないといった感じである。しかし、それは年金や蓄えが有るからであって、これからの世代は蓄えが不十分という人も増えてくるだろう。そうなると、収入を得ることができるNPOが脚光を浴びることになる。各地のシルバー人材センターは、高齢者の雇用と生涯教育という点で、NPOとまさに目的も内容も似ている。参考になる部分も多いはずだ。
NPOで雇用促進!言われ続けて久しいが、なかなか難しい。いよいよ団塊の世代が定年を迎える今こそ、雇用につながるNPOの出現が望まれる。しかし、現実は給料制のNPOは全体の一割に満たない。この課題を解決すべく、様々なチャネルで声を上げていきたい。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成17年3月)