第37号 新制度の施行で増える法人形態
 2006年に「会社法」が施行される。新会社法では、時代の変化にともない会社の制度が大幅に整理され、株式会社も最低資本金がなくなったり、取締役は1人でいいなど会社組織をスリム化し、起業を簡単に出来るように改正される。つまり、資本金や取締役の数≠準備しないでも起業しやすくなっているのだ。
 今までは資本金を準備しないでも「○○したい!」という思いを法人化しようすると、NPO法人という選択肢しかないから、目的は違ってもNPO法人をむりやり設立する人たちがいた。しかし、今後、そういう人たちは新しい会社法で規定される「会社」を設立することになるであろう。
 NPOとは、Non-Profit Organizationの略で継続的、自発的に社会貢献活動を行う、営利を目的としない団体なのだから、社会貢献などの目的達成を最優先に活動しなければならないのだから、目的も違うのにNPO法人を設立していた人たちがいたことを考えると、これは大歓迎だ。
 また、新会社法施行の前である今年8月に、「LLP」という新しい制度が施行された。LLPとは、Limited Liability Partnershipの略で、日本語では有限責任事業組合となる。LLPでは「出資者=執行者」で、出資者がなにも経営にタッチしないことは禁じられているが、税金が会社に対してかかるのではなく、出資者一人ひとりに対してかかる(構成員課税)というとても興味深い制度なのだ。つまりLLPとは、会社維持にかかるコストを優先するよりも「ヒト」が中心の組織になる。
 事業型NPOなどNPOでも利益をあげることができるが、目的が達成されるのであれば今後はNPOからLLPやLLC(合同会社)、株式会社に変更していくところも増えていくのではないだろうか。
 今後、起業したい人たちにとって、選択できる法人格がたくさん増えたことはよいことだが、それぞれの特徴をよく勉強しておかないと、大変な間違いを犯すことになる。十分注意して欲しい。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成17年10月)

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