第43号 少子高齢化を救う?! 団塊世代の「地域デビュー」
 2010年頃までに、いわゆる「団塊世代」(1947〜1949年生まれ)が60歳を越え、その多くが定年による退職を迎える。これにより、労働市場における労働供給減少、そしてそれによる技術・技能継承問題の発生、企業経営への影響、オフィス需要の減少、貯蓄・消費の変化、金融資本市場への影響、ひいては日本のマクロ経済への影響や財政、税収等への影響などが予想され、なんだか重苦しい感じを与えている。

 そんな中、最近よく耳にするのが「地域デビュー」という言葉である。一昔前に言われた核家族の母と子の問題であった「公園デビュー」と違って、こちらは団塊世代の第二の人生のことである。戦後のベビーブームで生まれた団塊世代は来年から順次、満60歳の定年を迎え、その数は3年間で7百万人。高度成長を支えた会社人間が、後半の人生をどう組み立てていくのか、地域とどうかかわっていくのか。行政にとっても大きな課題である。このまま何もしないで早く老け込んでいくと、医療費の増大で国がつぶれてしまうであろう。しかし、このダイヤモンドの原石ならぬ「人材」を「人財」に変えることができれば、地域の問題が一気に解決する可能性もあるのだ。

 スムーズに「地域デビュー」をした団塊世代が、人と人とのつながり、コミュニティーを再生し、地域の課題を解決するようなコミュニティビジネスを起こしたり、参加したりすれば、その人にとっても、地域にとってもプラスに働くというわけだ。少子高齢化問題を逆転の発想で乗り切る唯一の手法なのかもしれない。

 今まで団塊世代は高度経済成長時代の近代工業社会の中核を担い、その歩みは入試地獄や大量生産、大量消費など常に社会変動を伴っており、求められたのはスピードと効率がすべてだった。しかし、地域では必ずしも、スピードと効率は要求されない。時には「スローペース」や「非効率」が必要なのかもしれない。

 団塊の世代の皆様には、是非とも焦らず自分の第2の人生を見つけてもらいたい。地域にはあなたが知らなかった、気づかなかったすばらしい魅力があるということを。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年4月)

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