福島達也理事長コラム
第103号 やはり天罰なのか
 先日再選を果たした石原東京都知事だが、選挙前に東日本大震災を受けて「天罰」発言をして物議を醸していた。すぐに発言を撤回していたが、私はやはり天罰だと思う。

 もちろん、東北方面の人が悪いわけではない。日本人全体に対する天罰と考えるべきだ。 震災後、電気やガソリン、水道の節約が始まったのだが、戦後から六十年以上を経て、日本人は物を大切にしないでジャブジャブ浪費する生き方をしてきたのではないだろうか。使えるものをすぐに捨てる。食べられるものを残す、捨てる。あることが当たり前になっているから、なくなって初めて不便を感じた人も多いだろう。

 そして、日本全体で始まった節電、節水などの嵐。それでも生きていけるということをこの地震は教えてくれたのかもしれない。だから東北方面の人は、その日本人全体のおごりや気の緩みに対する天罰を代わりに受けてくれたのではないだろうか。

 さらに、しばらくして元の生活ができるようになると、また日本人は環境を破壊し、浪費し、自己中心の生き方をしていくはずだ。そうなるとまた何か起こるだろう。東北の次は関東。関東の次は東海、そして関西・・・・と日本全国が地震などの天災に襲われる可能性の方が高いような気がする。

 地震の専門家にとって、この地震はまったく予想通りだったことが、震災後の報道でわかったようだが、私もかつて大学院の授業で、北関東にマグニチュード9クラスの地震が来ることを教わっていた。北にずれれば東京は助かり、南にずれれば東京は壊滅状態になると知って、とても怖い気持ちになったことを思い出した。予想はぴたり、だが、地震は北にずれたのだ。

 当時教えてくれた先生は、今回の震災後、テレビに出ずっぱりだった。どんなに偉い先生方(学会や予知連)が予想していても、それに対する対策はなかなかできないものなのだ。そちらのほうがもっと怖い。

 この震災後の真っ暗な都会を毎日見ていて、気持ちまで暗くなるのは私だけではないだろう。 気持ちだけでも明るくなるような日本に戻って欲しい。生きている間に。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成23年3月)

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