福島達也理事長コラム
第108号 いよいよ嵐の到来だ
 毎週新幹線には載るが、興味深い記事を見た。

 円高、経済無策の影響で日本の産業の空洞化は進み、日本で最も優秀な自動車産業の仕事も5分の1になるという予想だ。どんなに頑張っても自動車業界の社員の数は半減らしい。自動車でさえそうなのだから、他の産業は半減なら良い方かもしれない。産業自体がなくなる分野もあるという。

 最悪の時代がついに来たのだ。一体日本人はどこに行けばよいのか?

 戦後日本では、仕事を求めてブラジルなどに移民する人がたくさんいたが、もう他人事ではないのかもしれない。兄弟の中で日本にいるのは自分だけ・・・という感じだろうか。

 しかし、それは「ものづくり」の話しだ。「モノ」はいずれ日本で作らない時代が必ず来るが、サービスは別。さすがに介護サービスを外国の会社に国際電話で依頼するということはないし、教育だって外国人に教わるのは外国語であって、国語を外国人に教わることはないはず。

 NPOは幸か不幸か、ものを作ることはできない。というよりも、作るなら会社でやるはずだ。だから、どんなに産業の空洞化が進んでもNPO業界がなくなることはないはずだ。むしろ、ものづくりがなくなることで、そのすっぽりと空いた空間をどのように埋めていくかがNPOにも問われているのだ。

 近い将来、メイドインジャパンじゃなければ不要という風潮が国民に広がれば、自家用自動車がなくなり、ベロタクシーやタイムシェアが繁盛するだろう。最新式の電気製品を求めなくなれば、リサイクルや共同利用が進むであろう。新しいゲーム機が今のように頻繁に誕生しなくなれば、体を使った昔ながらの遊びが見直されるような気もする。

 そうなのだ、ものがない時代というのは決して悪い時代ではなく、今の現代人に最も欠けていた部分を補ってくれる素晴らしい時代なのかもしれない。

 いずれにせよ、NPO等の非営利団体の活躍する場はむしろ増えるだろう。というよりも、役員専用車に乗り高額な役員報酬を取る企業はみんなつぶれ、丁寧なサービスを低価格で提供するNPOの独断場となる可能性すらある。

 その時代はそれほど遠くない。さあ、みんなで今から準備しよう。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成23年9月)

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