福島達也理事長コラム
第48号 NPO法人の認証取り消し
 所轄庁のNPO法人の認証取り消しが急増している。というよりも今までしていなかった都道府県庁がやっと動き出したという感じだ。東京都はこの8月に11のNPO法人の設立の認証取り消しを行い、合計で17団体を取り消した。そのほとんどが、事業報告書等の提出を3年以上行っていない団体であり、事実上活動休眠中の団体だ。
 興味深いのは、今年5月に実施した東京都の確認で、その11の全ての法人の事務所が存在していなかったことだ。引っ越したのか最初からなかったのかは不明だが、おそらく事務所のような機能は最初からなかったのであろう。さらに、7月に実施した聴聞については、11法人のうち、8法人が欠席したとのこと。3法人は出頭したらしいが、残りの法人は代表者さえも連絡がつかなかったようだ。
 これは氷山の一角だ。3年報告を出していない団体は他にも存在するし、1年出していない団体などは数え切れないくらいあるようだ。そして、そのほとんどが活動していないのである。なぜそういうことが起きるのか、もう少し所轄庁や支援センターは反省して欲しい。そして、申請書を手引書どおりに書けば設立できてしまうシステムに問題があることに早く気づき、設立認証のシステムを変えるべきである。登記だけで設立できる準則主義であれば、自己責任だからそういう団体は無視していればいい。しかし、所轄庁が認証しているということは、少なくとも一般市民にとっては所轄庁のお墨付きを得た団体だと勘違いしてしまうであろう。
 以前から私は主張しているのだが、NPO法人を誰でも設立できて、すべて自己責任になる準則主義にするか、反対に申請書のチェックで設立を認証する制度をやめて、事業報告書の中身で認証する制度に変えたほうが良いと思う。新しい公益法人の認定要件でもある「経理的基礎や技術的能力」。これこそまさに法人としての究極の要件であると思う。そうすれば、実績のない幽霊団体や活動・経理面で脆弱なNPO法人は、この世の中から存在しなくなる。来年のNPO法改正がそういう方向に進めばいいが、それに気づく国会議員はほとんどいない。今のままでは悲劇を拡大させるだけである。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年9月)

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