福島達也理事長コラム
第50号 米国NPO幹部報酬の高額化と日本のNPOの行方
 つい先日、アメリカのNPOの幹部が受け取る報酬額の調査結果が報じられた。そのNPO専門紙の調査によると、大規模なNPO団体の幹部が昨年受け取った報酬の平均は、なんと32万7575ドル。日本円にして3800万円。さらに、びっくりすることに、年間の報酬が100万ドル、日本円にして1億1700万円を超えている例も珍しくないというのだ。気になる報酬額のトップは、ニューヨークのメモリアル・スローン・ケッタリングがんセンターのCEOであるハロルド・バームスさんの約250万ドル。日本円で2億9千万円。ため息しか出ない。

 しかも、NPO全体の前年比に至っては5%弱も増えているのだ。全米上位企業のCEO報酬額の増加率が3%弱だから、通常の企業よりもNPOのほうが伸びているということになる。まるで、NPOバブルが起きているのだろうか?

 これについては、確かにアメリカのNPOが完全に市民権を得た結果ということもできるだろう。しかし、よく見てみると、それらのNPOのほとんどは、草の根のNPOとは程遠い組織であって、日本で言う公益法人や政府の外郭団体以上の規模なのだ。つまり、日本の小さな自治体と同じくらいの規模といっても過言ではない。

 日本もそうなるのだろうか? 答えはNO後YESだ。つまり、今は規模も小さく、活動も地域に限られているところが多いのでNOだが、やがて、公益法人と合流し、さらに、道州制が成立する頃は、行政からこぼれ落ちてくる仕事のほとんどをNPOが拾っていくことになるであろう。もしかしたら、合併や道州制の影響で消えてなくなる自治体は、NPOに形を変えて存続していくことになるかもしれない。

 自治体の公園や図書館の管理を受託する時代は終わりを告げ、NPOが公園や図書館、さらに自治体そのものを経営するような団体が現れる日が、ひたひたと近づいているような気がしてならない。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年11月)

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