福島達也理事長コラム
第51号 「NPO法人制度に関する中間報告」に対する意見結果
 先月、内閣府は「NPO法人制度検討員会」がとりまとめた「NPO法人制度に関する中間報告」に対する意見募集の結果を公表した。

 意外だったのは、公表された結果によれば、寄せられた意見はたったの39件だけだったことだ。所轄庁からの意見もあったが、所轄庁だけでも48あるのだから39というのはあまりにも関心が薄いのか、それとも特に問題はない完璧な制度ということなのだろうか・・・はなはだ疑問が残る。

 そんな中、特に多かった意見は、やはり「法人の認証・監督のあり方」で、「定款変更を認証ではなく届出にすべき。」が6件だった。これは確かに、名称を1字変えるだけで4ヶ月近く待たなければならないのはひどすぎるが、届出だけで何でも変えることができたら、最初の認証は何のためにあるのかわからない。「人道支援」で認証を得た団体が、「ヤクザの支援」に届出だけで変えられたらたまったものではない。私は、届出だけで済む事項を増やし、「名称」「会議」「資産」等は届出だけにして、「目的」「事業の種類」「社員の資格」等については、絶対に届出制にしてはいけないと思う。「登記のみで設立できる」というのも6件あったが、同じ意見で大反対だ。暴力団活動や風俗営業をNPO法人でやられたら他のNPOは大迷惑だ。

 新しい公益法人制度は、登記だけで設立できるのだから、むしろNPOは健全な団体だけが残れるよう、設立も厳しくし、登記や届出を怠ったら、2回目くらいで自動的に認証取り消しにすべきだ。そういう団体は、すでに手紙も届かず、連絡もできず、活動するつもりもないのだから、自動的に認証を取り消して解散させてあげたほうがよっぽど親切だと思う。

 ただ、情報公開については、「インターネットによる情報公開促進」が5件あったが、社員名簿については閲覧の対象からはずしてもよいだろう。会員を監視するのではなく、活動を監視するようにして、事業報告や収支計算書だけでなく、理事会や総会の議事録をインターネット公開すべきだ。それも2回忘れたら認証取り消しがよい。

 そろそろ「NPOは誰でも簡便に設立できる」といううたい文句はもうやめて欲しい。それはただ、「誰でも簡単に休眠できる組織」を増やすことに過ぎず、所轄庁の督促状係や苦情係を増やすことにしかならないのだから・・・。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年12月)

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