福島達也理事長コラム
第53号 指定管理者制度の「民間開放度」を公表
 平成15年の地方自治法の改正によって、「指定管理者制度」が導入され、公の施設の管理は、それまで地方公共団体の出資法人等しか受託できなかったものが、株式会社やNPO法人などに門戸が開かれたのだが、いったいどのくらいの施設が実際民間開放されたのか非常に興味があった。

 というのはこの制度、すべての施設について自治体が直営するか、指定管理者に管理運営を委ねるかのどちらかにしなければならないので、その民間開放具合によって、自治体の民間への期待度や積極性がわかるからである。

 そして、ついにそれが明らかになった。総務省は、その経過措置期間の終了した平成18年9月1日現在、全ての地方公共団体における指定管理者制度の導入状況を調査し、その結果を1月31日に公表したのだ。

公表された結果では、指定管理者制度は、都道府県で約7千。市町村で約5万5千の施設で採用されていることがわかった。
そして、気になる民間開放度だが、株式会社と有限会社が約7千弱の施設を受託し、全体の11%を占めていたのに対して、NPO法人は約千施設、たったの1.7%しかなかったのである。これでは市民協働などと言い難い。

 NPO法人が選ばれない理由はわかる。NPOは企業に比べると組織力や経営力、さらに財政力が脆弱で、管理水準や業務遂行能力が低いと見られているからなのである。しかし逆に言うと、そういう余分な毛皮を着ていないからこそ、利益を追求しない運営ができる。しかも、余計なところに気をつかわないので、その施設運営に専念できるとも言える。

 ただ私は、NPOはそもそも指定管理に向かないと思っている。行政施設の管理とNPOのミッションはそもそも相容れない。つまり、NPOというのは、行政のやることでは本当の公益の増進につながらない、物足りない、任せておけないという観点から組織として立ち上がったわけで、公の施設とは別次元のところにミッションがあるはずだからだ。指定管理では自分たちの独自性や創造性という翼をもがれてしまうことになるかもしれない。

 そういう意味でNPOの指定管理は、もうこれ以上増えなくていいと思う。行政に迎合することなく、自分たちの活動に自信を持って積極的に市民の中にぶつかっていって欲しい。行政施設の要らなくなるときがきっと来るはずだから。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成19年2月)

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