福島達也理事長コラム
第61号 「内閣府認証」が悪用される理由とは
 またしても、NPO法人を使った詐欺が発覚した。本当に情けなくて、情けなくて、嫌になってしまう。もちろん、詐欺といえば内閣府認証。なぜか、犯罪を起こすのは内閣府認証のNPO法人ばかりだ。まあ、人を騙そうと思ったら、組織が大きくて活動がすばらしい団体だと見栄を張るために、内閣府認証を無理やり取得するのだろう。

 もちろん、内閣府認証の団体はみんなインチキなのかといったらそれは大間違いだ。内閣府認証の団体のほとんどは一生懸命社会貢献をしている団体であり、すばらしい活動をしている団体も多い。しかし、逆にそれが悪用されているのだ。

 内閣府認証だからといって、内閣府がお墨付きを与えたわけでも、都道府県認証よりも大きな団体というわけでもない。ただ、事務所が都道府県をまたがって設置されているだけだ。それでも、人は内閣府認証と聞けば、よっぽど公益的なすばらしい団体なのだと思ってしまうから恐ろしい。

 今回の詐欺は、健康関連商品販売会社「L&G」による出資法違反事件で、同社がNPO法人を設立し、盲導犬の育成などと言って、勧誘活動を担わせていたのだ。そして、「内閣府認証」と大々的にPRし、顧問には一時、元警視総監を招き、さらに、出資者向け説明会などには有名演歌歌手らの無料コンサートも開催される。

 まあ、著名人が顧問を務め、芸能人が歌や踊りを披露とくれば、ここまで聞いただけで詐欺のよくあるパターンだとすぐわかるのだが、それでも騙される人は後を絶たない。

 騙される方も悪いと思うが、そこに、NPOを利用するところが許せない。これでしばらくまた、NPOは詐欺集団だという印象が蔓延するだろう。

 多くのNPOが頑張れば頑張るほど、この信頼性や安心感を逆に悪用し、人を騙す不届き者が後を立たない。だからこそ、NPOはいつでも誰にでも、手に取るようにわかるほど、組織も活動もガラス張りの体質にしておかなければならないのだ。

 それは、自分たちのためだけではなく、どこかのお年寄りなどが、犯罪にもうこれ以上巻き込まれないためにも・・・・。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成19年10月)

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