福島達也理事長コラム
第66号 NPO法人にも影響を及ぼす新公益法人制度
 内閣府は、本年十二月から施行される新しい公益法人制度における「公益性」を認定するためのガイドライン案を先日公表し、それと同時にこのガイドラインに対する意見募集を開始した。もちろんこれは、新しい公益法人に対するものだが、同じく公益的な法人格であるNPO法人にも大きな影響力を及ぼすものと思われる。

 なぜなら、今までのNPO法人の認証申請の場合、どちらかというと事業名やその目的だけで公益性を判断されることが多く、本当にその活動の公益性があるのかないのか判断することが非常に難しかったからである。だから、「こういうことをやろうと思うのだけれどもNPO法人でもできますか?」という問いに対して、「このような活動内容と趣旨であれば問題ない」という回答しかできなかった。

 だからといって、書類上でいくら公益的な活動になっていても、実は裏に企業が隠れていてそこの儲けにつながっていたり、ただのワンマン社長のような人がほとんど一人で操っていたりすることもあるのだ。なので、本当の意味での公益性とは何かということは、NPO法人関係者にとって究極の課題だったのである。

 その課題がいよいよ解決に近づこうとしているのかもしれない。ガイドライン案によると、新制度の公益認定では、調査研究、検査検定、自主公演、助成褒章……などをしていればそれだけで公益的だということではないということが延々と書かれている。

 事業の内容ではなく、それらの事業をどのような「手法」で、どのような「基準」で、どのように「広く一般に公開」して活動を行い、どのくらい「社会に貢献しているか」などによって公益的かどうかを判断することになったのだ。(詳しくは、専門部のコーナーに記述)

 今後は、NPO法人の認証申請の際にも、当然所轄庁の職員はこのガイドラインを意識して、それとまったく違う手法で行っているような活動の公益性を認めないことになるであろう。

 そういう意味で、今度の公益法人制度は、NPO法人にも大きな影響を及ぼすことになろう。ということは、NPO法人の認証申請もかなり厳しくなるのかもしれない。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成20年3月)

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