福島達也理事長コラム
第75号 NPOと公益法人。非営利団体の行末を占う
 年の瀬を迎えようとしている。あっという間の1年だった・・というのが毎年のこの時期のセリフ。
テレビでも新聞でも誰もが同じことを言っている。そうなのだ、「今年は長かった・・・」などという
日々は来ない。これが人間の宿命なのだ。

 そして、あっという間にNPO法ができて10年。12月1日がNPOの誕生日。ということは私も
10年この仕事をしていることになる。

 10年一区切りというが、確かにそうなのかもしれない。10年目の誕生日のその日に新しい公益
法人制度が始まった。もしかしたら、この制度によってNPOは窓際に追い込まれるかもしれないし、
あるいは脚光を浴びることになるかもしれない。

 スタートしたばかりだからまだわからないが、1年くらいでその行方が明らかになってくるだろう。
 だから、NPOが本当の意味で真価が問われる年になるだろうから、頑張れNPO!というのが私
の役目のはずだが、実はそうは思わない。

 NPO法人という法人格自体、その役目は終わったと思う。

 非営利で活動しようとする団体が法人格を取得するのは「一般社団・財団法人」で、さらに規模の
大きな団体や寄付金を原資として活動するような社会貢献団体が「公益社団・財団法人」をめざす。

 それでいいのではないだろうか。その方が単純だしわかりやすい。税制もすっきりしている。

 しかし、現実にはそれ以外にNPO法人があり、すべてにおいて説明がややこしくなるし、わかりづら
くなっている。

 平成17年頃までは、NPO法人もこの制度の仲間に入っていたのだが、いつの間にか除外されてし
まったのだ。誰が反対してこうなったのかよく知っているが、まったく大きな政策判断の誤りだろう。

 この判断ミスのお陰で、国民に大きな疑問と不安を与えてしまう結果となるであろうし、制度を生かせ
ず、誤った考え方で、大きな社会問題を起こす可能性すらある。

 NPO法も来年改正されるが、改正すればするほど、一般社団・財団との違いがなくなっていく。改正す
るよりも公益法人制度に合流すべきだと思う。

 そして、「一般社団・財団法人」などとわけのわからない名前をやめて、すっきり「NPO法人」とする。
もう一つが「公益法人」はどうだろう。非営利団体をその2つに集約したほうが実に分かりやすい。

 おそらくそう主張する専門家は少ないだろうが、私は来年から言い続けようと思う。





特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成20年12月)

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