福島達也理事長コラム
第80号 NPO法人はつぶれない?
 
 豚インフルエンザも大変心配だが、目先の心配は日本の景気のほうだろう。

 私の身近なところでは、馴染みのお店からの「今月末をもって」メールが増えている。事務所の周りでも、みるみるうちに「閉店」「店じまい」「テナント募集」の文字が踊り始めている。窓から見える向かいのビルもワンフロアー空いている。

 東京のど真ん中でこんな状態だから、地方はもっとすごいのではないだろうか。ビルごと空いているというとか、並びの店がすべてシャッターという地域もあるようだ。

 さて、こんな状態でNPOは大丈夫なのか? 確かに、景気が悪くなるとNPOが元気になるという傾向にはあるが、必ずしもそうとはいえないようだ。

 特に、寄付金や会費収入に頼っているNPOの場合、ほとんどの企業は緊縮財政だから、寄付金の減額や法人会員の退会が心配である。実際、どこのNPO法人も会員数の微減は避けられないだろう。

 しかし、そういう時は、他の会社に当たっても駄目だし、新たな寄付者を探すことも難しい。

 そこで、こういうときのNPOの踏ん張り方を紹介したい。

 まずは、企業に習ってコスト削減だ。固定費をどれだけ縮小できるかどうか。家賃なども値下げ交渉を始めたらよいだろう。何かを購入する際も、ネットを最大限に生かして、仕入先の見直しをするとよいだろう。

 次に、会員や関係者への呼びかけだ。団体が困っている姿をきちんと情報公開して、関係者に臨時に義援金のような寄付を募ってみるのもよいだろう。

愛する団体のためなら一肌脱いでもよいという人も中にはきっといるはずだ。

 そしてこれが一番難しいのだが、こういう時代は、様々なサービスの低下や縮小、廃止が続いているので、そういう分野に挑戦することだ。

 会社や行政では続けられない分野でも、NPO的な発想で、NPO的なコスト意識でやればうまくいくことも多い。

 つぶれた会社の後にNPO。そういう時代が来るかもしれない。




特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成21年5月)

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