福島達也理事長コラム
第81号 NPO法人で大丈夫?
 
 新しい公益法人制度が始まってちょうど半年が経過した。ものすごいブームかというと、それほどでもないという感じだ。特に、従来の公益法人の動きが鈍い。今まで公益法人は約2万5千あり、5年以内に一般法人か公益法人に移行しないと自動的に解散になる。半年で2500法人が申請しないと間に合わない計算なのだが、今のところ半年で138法人と様子見ムード一色

 その一方、新しく一般社団・財団法人を設立する動きは活発だ。今度の一般法人は許認可がなく、登記だけで設立できるので、NPO法人よりも簡単である。設立が簡単なだけでなく、監督官庁も一切なしで、原則非課税と言われる税の恩恵も選択できるというのだから、それに飛びつく団体が多いのも頷ける。

 ただ、注意したいのは、一般社団・財団法人というのは、NPO法人との違いがあいまいでしかもそれほど知られていないため、法人化をするときに間違った方を選択するケースが急増していることだ。社団と財団の違いならまだしも、そこにNPO法人が入ってくると、専門家でも説明に窮している現状だ。

 業界団体のような法人が間違ってNPO法人を設立したり、市民活動団体が名前に惹かれて一般財団法人を選択したりするケースもある。

 まず、わかりやすく説明すると、NPOは、市民活動や社会貢献活動を行う会員制の法人で、会員総会が中心となり法人の方向性を決定し、同族や同企業の関係者の全くいないような団体が望ましい。

 一方、一般社団法人は、会員制という点では同じだが、市民活動や社会貢献というより共益活動が中心の、同業種・同好会的な団体。

 最後は一般財団法人。これは、会員制でないことが大事。会員がいても寄付をする賛助会員の扱いで権利はない。活動は幅広くNPOに大変似ているが、市民活動というよりも社会貢献活動と言った方が似つかわしいだろう。

 もっと詳しいことは7月のセミナーでじっくり検証するので、ぜひ参加してほしい。

 とにかく間違った法人格を選択してしまうと、まずやり直しはきかないので、後の祭りにならないように、ここはしっかり学んでほしい。




特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成21年6月)

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