福島達也理事長コラム
第83号 マニフェストで見るNPO政策の行方
 
 いよいよ選挙だ!そう、衆議院選挙が迫ってくるとともに、政権交代も現実味を帯びてきている。

 そこで、NPOに対する自民党と民主党の考え方を比較してみた。
 まず、自民党だが、「誰もが参加しやすい社会活動・NPO法人等ボランティア組織の育成・支援を行う」らしい。一方民主党は、「市民が公益を担う社会を実現し、非営利セクターの活動を支援する」そうだ。

 支援とか育成という表現は「邪魔はしないけど何もしない」という意味なのだ。何とも悲しい現実・・・。

 救いなのは、民主党はかろうじて「認定NPO法人制度を見直し、寄付税制を拡充するとともに、認定手続きの簡素化・審査期間の短縮などを行う」とあるから、認定NPO法人制度の変化は期待できる。しかし、それはあくまでも認定NPO法人であって、NPO法人ではない。

 つまり、どちらが政権を取るかと言われているが、残念なことにNPOにとってはどちらになってもあまり関係ないのだ。

 なんて乏しい発想と政策だろう・・・。前回のマニフェストに入っていた「個人一人当たり10万円の寄付控除」はどこに行ったのか・・・。明らかに後退である。

 経済が破たんして生活が厳しい家計を意識した政策ばかり並べて、ますます借金を積み重ね、これから生まれてくる国民に背負わせようとしているのだ。

 今、1円も借金をしていないとえばっている人がいたら笑ってしまう。国民は既に1人700万円の借金をしているのだ。もちろん、返済の義務はないが、国が将来の国民に膨大な借金を積み重ねているのだ。それなのに、まだ借金を増やすのか。子ども手当も幼児教育費も出産手当も、すべて少子化対策なのだろうが、私に言わせればそれはむしろ「借金返済者増強政策」にすぎないと思う。騙されるなと言っても、明日の生活に余裕がない国民はもうまともな判断ができなくなっている。

 そもそも環境対策や地域格差を解決するなら「高速道路無料」ではなく、むしろ「都市一般道の有料化」だろう。それが無理なら「一人で乗ったら高速代倍額」だ。

 もうどの政党も将来の日本のことなんか考えていない。100年後の日本の姿をきちんと描ける政党が欲しい・・・。





特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成21年8月)

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