第144号 ストレス父さんが増えたら倒産?

 マイナンバーでテンテコ舞いの会社も多いことだろうが、忘れてならないのは、今月から始まったストレスチェックだ。
 これは、従業員50人以上の事業所に義務付けられるものだが、企業は今そんな場合ではないところも多いだろう。だって、来年1月にスタートする「マイナンバー制度」でてんやわんやの状況だからだ。

 このストレスチェックとは、50人以上雇用している企業が1年に1度やらなければならない従業員のストレス調査のことだが、企業が直接行うというよりも、医師や保健師などの専門家に依頼して、従業員のストレスの程度をチェックすることになるだろう。

 でも、「ストレスが溜まって何するかわからない」とか「この人はやばいです」なんて結果が会社に知られたら、従業員もたまったものではない。クビになるかもしれない・・・。
 だが安心してほしい。ストレスチェックの結果は、会社ではなく従業員に通知される仕組みだ。本人の同意がなければ、ストレスチェックの結果を企業に伝えることは禁止されている。
 そして、高いストレスを抱えていると判断された従業員に対しては面談指導を勧め、本人が必要性を認めた場合は医師など専門家が対応にあたる。企業はこれを受けて、職場の変更や就労時間の短縮など必要に応じた措置を講じるという流れだ。

 大企業では、福利厚生サービスですでに契約している産業医らが対応するケースもあるが、大多数の企業は改めてストレスチェックのために専門の事業者を活用することになりそうだ。

 さてここで疑問なのは、何で従業員50人以上の企業だけなのかだ?50人未満は努力義務ということだが、それではやらなくていいと言っているようなものだ。
 従業員が多いとストレスが溜まりやすくなるのだろうか?いや違う。ストレスなんてのは会社の規模には全く関係ない。むしろ、小さい会社ほど逃げ場が少なく、ストレスが溜まりやすくなるのではないだろうか。
 模範解答は、従業員が50人以上の会社はお金に多少の余裕があるだろうから、一人当たり300円から3000円かかると言われているこのストレスチェックに、文句も言わずに対応してくれるからだろう。国の考えることはそんなところだ。
 これでは、仕事をする人々から本気でストレスをなくそうとしているのか疑問が残る。

 次に、何で会社だけなのか?むしろ、家庭でのストレスの方が多いのではないか?
 子育て中のママさんとか、子どもの進学やローンの支払いで悩むお父さんとか、旦那の浮気も相当ストレスが溜まるだろうに・・・。
 模範解答は、すべての人に義務付けたら、お金のない人が困るからだ。しかも徹底させるのが難しいし。タダなら受けてもよいだろうが、そうすると国家予算がパンクしてしまう。なので、すべての人に受けさせることはできないのだ。企業の職場環境を良くして生産性を高めて国際競争力につなげる・・・。結局はそんなところだろう。

 まだある。ストレスの有無を教えてどうなるのか?とか、会社に知らせたくない人ばかりだと会社がお金を払う意味があるのか?
 ストレスが溜まっていることを知った職員が、そんな会社を辞めてしまったら、果たして会社はどうなのだろうか?高いお金を払って職場改善をするつもりが、気がついたら職員が半分になっていたなんてことも現実的にあるかもしれない。
 「ストレス倒産(父さん)」なんて言葉が流行語大賞になる日も近いか?

 でも、本当は、従業員よりも経営者の方がストレスは深刻だ。中小企業は大企業と違って不景気が長く続いている。それなのに、安倍ちゃんは、日本全国の時給を千円以上にするらしい。
 沖縄なんて693円ってことを知っているのだろうか。売り上げがどんどん落ち込む中で、最低賃金を上げたら、倒産する会社が後を絶たないだろう。特に飲食業界は壊滅的になる。

 経済学を勉強したことがある人は「需要と供給」を知っているはずだ。最低時給は経済が決めることであって、国が決めることではないと思う。これでは国が滅んでしまう。
 私は、来年夏以降、ものすごい不景気が日本を襲うような気がしてならない。
 「経営者にとってはストレスチェックがストレスだ」なんて冗談で締めくくろうと思ったが、中小企業のことを考えると、そんな冗談も言えなくなる。
 中小企業の社長は、来年以降ますますストレスが溜まっていくことだろう。とにかく、ストレス父さん(倒産)が増えないことを祈るばかりだ。

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年11月)

第143号 マイナンバーで困る人たち

 マイナンバーとどきましたか?
 いよいよマイナンバー法の運用が来年1月から始まるが、早くもいろいろな動きが出てきている。例えば、マイナンバーがスタートした瞬間にマイナンバー詐欺を行う人が登場。すでにこの詐欺に引っかかってしまった…、なんて人もいるようだが、これからもそういったことには気をつけてほしい。

 さて、マイナンバーが始まるということで、サラリーマンの副業がバレるなんていうことが言われているが、実際のところはどうだろう。
 副業などの収入が、年間20万円を超える場合、副業だから確定申告が要らないって思っている人も多いようだが、実は確定申告が必要であることはご存知だろう。
 通常、会社員の住民税は、給料から天引きされているので、副業によって収入が増えてしまうと、住民税の多さから、会社にバレてしまうことになる。これまでも、バレる可能性はあったのだが、本業と副業の照合の手間などを考えると、調査するほどのことでもなかったわけで助かっていたはず。しかし、マイナンバーによってひも付けされれば、調査はごく簡単になり、一発でバレてしまう、ということになるだろう。
 もちろん、年間の収入が20万円以下であれば、確定申告をしないわけだから、バレる心配はないかもしれないが・・・。

 副業と言っても、すべての副業が会社にとってNGかというと、そういうわけではない。株や投資信託、外貨取引などの資産運用は別に副業にはならないので、特に気にすることはない。
 ただし、オークションやアフィリエイトのように、主体的に事業をしていると思われるもの、継続的にビジネスをしている場合などは副業に当たるとみなされることが多いので、マイナンバー後も注意が必要だ。ヤフオクなどでお小遣い稼ぎをしている人は、もしかしたら目をつけられるかも・・・。
 また、副業どころか、水商売などでの勤務履歴もマイナンバーという形で永久に残ることになるので、副業で働く水商売の人は皆無になることはもちろんだが、本業であっても将来のことを考えて、水商売や風俗営業で働くことをためらう人が増えるはずだ。
 ついに日本から風俗営業が消える日が来るかもしれない。もしかして政府のねらいなのか?

 では、副業がバレないウルトラCはないのかということになるが、ないわけではない。
 副業している方の会社などには、マイナンバーを提出しないという方法だ。申告は義務と言われているが、実際のところはペナルティを受けるのは企業だから、副業をする場合には、自分で納税をすることになる「普通徴収」を選択するという方法だ。そして、もしこういった個人の手続きが面倒であれば、法人をつくってしまうこともひとつの考えである。法人は源泉徴収されないので、自分の勤め先とひも付けられる可能性はほとんどないからだ。
 就業規則で副業が禁止され、法人の役員になることも禁止されているのであれば、家族の名前で法人を作るとよいだろう。
 まあ、ここまで面倒なことをしてまで、副業をすべきかどうかは疑問だが・・・。

 さて、困るのは副業をしている人だけではない。
 実際、本業の会社でも、様々な事情により、マイナンバーの提出を拒む社員も出てくるだろう。特に昨今では個人情報にはかなり過敏になっている人もいるため、企業側もその対策をしっかり考えておかなければならない。
 だって、拒否した場合には、当然税務署から目をつけられる可能性は高くなるだろうから、結果として、マイナンバーの記載ができていない企業には、税務署の税務調査が入りやすくなるはずだ。2、3年後の税務調査は、マイナンバー不記載企業に限ることになるかもしれない。
 とにかく、税金のことを考えて作ったマイナンバー制度だから、税金を取れることは何でもやるだろう。でも、そんなに税金を稼ぐことができるなら、もう消費税を上げなくてもよいのではないか、そんな気もするが・・・。

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年10月)

第142号 国が人のお金を盗む時代到来?

 皆さんは学生時代や転居前に作った銀行口座など、長年利用していない銀行口座は持っていないだろうか?
 私は、高校生の時、銀行オタクだったので、趣味で20以上の銀行の口座を持ち、それぞれ千円入れていたが、そんな変人はいないにしても、使っていない口座くらい誰だってあるだろう。
 こうした休眠口座は放っておくと国に盗まれることになったのをご存知だろうか?
 国会ではまもなく、10年以上お金の出し入れがない「休眠預金」を、難病の子供を持つ家族の支援など、民間のNPOなどの非営利事業に使えるようにする法案が成立するのだ。
 私の口座のように、覚えているが特に使っていない口座も含め、最後の取引から10年以上たって、本人の所在が確認できない口座の預貯金が対象なのだが、私も高校生の時の住所では、郵便が届かないので、これに該当するようだ。
 実は、私の数万円だけでなく、現在はこうした預貯金が年1千億円ほど生まれているのをご存知だろうか?
 それでも、ひょっこり持ち主が現れて引き出されるのが400億円くらいらしいから、残りの約600億円は、最終的に金融機関の収益として計上されているのだ。
 今回の法案では、この毎年生まれる1千億円という休眠預金を銀行の収入にさせず、それを預金保険機構が没収し、国が指定する中立的な「指定活用団体(1つの一般財団法人)」に渡す。その団体はその1千億円を、寄付や助成の実績がある資金分配団体(十数団体)に助成か貸付する。
 そして、分配団体が福祉事業をするNPO法人などに活動資金の助成や貸し付けをする。と、こういう仕組みなのである。
 わかりやすく言うと、休眠口座のお金をリレーして、最終的にはNPO等に配布するというものだ。
 とても素晴らしい制度ではないか!いよいよ、民間非営利団体の時代が到来だ!と言いたいが、手放しで喜んでもいられない。
 というのも、移管された後も、預けた人が求めれば払い戻されるらしいので、毎年半分程度はプールしていくのだが、取りに来なかったら、ものすごいお金がその一般財団に眠ることになる点。そのうち何兆円も貯まるだろうが、貯めすぎではないか?
 されにおかしな点は、中間に入る資金分配団体の選定だ。おそらく、名だたる団体なのだろうが、ほとんど民主党政権時代のバラマキ軍団が名乗りあげるに決まっている。東日本大震災時の寄付金を扱ったバラマキ軍団が、またしても出てくるだろう。
 とても素晴らしい制度だが、前と同じことの繰り返しで、本当に地域で頑張る素晴らしい団体にお金が行くのだろうか?有名なNPOや実力者がいる団体ばかりに無駄に配られるような気がしてならない。
 私が代表をしている助成財団も、日々いろいろな団体に助成しているが、本当に選定は難しいのだ。選ぶのも難しいが、それ以上に監視するのはほとんど不可能に近い。ただ、事業報告してもらうだけではなく、あくまでも寝耳に水の誰かのお金を取ってきているのだから、地域がそのお金の管理や活動を監視するシステムが必要だと思う。寄付とはわけが違うのだ。
 そうでなければ、本当に国は、個人のお金をネコババしていることになるだろう。
 盗むというと怒る人もいるだろうが、私はあえてその言葉を使う。だって、人が知らない間にお金を取っていくことは、どんな辞書でも「寄付」ではなく「盗む」なのだから・・・。
 盗む以上は、ルールをきちんと定めて、公平公正に使って欲しい。
 そのためにはぜひ次のことを守ってほしい。

 1.すべて配り切るのではなく、その半分くらいは運用して増やした分を使う。
 2.元締めとなる団体やお金を配る団体の関係者や関係団体には、絶対に助成しない。
 3.最終的に配られる団体の活動やお金の管理は広く公表し、地域で監視する。

 さあ、私もそろそろ銀行に行って千円おろしてこようかな。でも30年以上も前だから、すべての銀行は合併などで名前がなくなっている!
 まずは何銀行になったのか調べることから始めなくては・・・(笑)

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年9月)

第141号 マイナンバー対策終わった?

 どこもかしこも、「マイナンバー・マイナンバー」の大騒ぎだが、とっくに私は持っている。
 もちろん、車のナンバーだが・・・(笑)
 車のマイナンバーは相当前から始まっている。

 冗談はさておき、今回のマイナンバーはどうやっても抜け道はないのだ。つまり、どの法人も避けては通れない道だと思って欲しい。

 人を雇用していれば、社会保険等の手続きや給与所得の源泉徴収票に個人のマイナンバー(又は法人番号)を記載する必要があるし、雇用していなくても、講演者への報酬等を払えば、支払調書などに記載が必要だし、税理士等の個人の外注先に報酬を支払っている場合は、報酬等に係る支払調書を税務署や市町村等に提出することになるが、その際、外注先(個人)及び事業者のマイナンバー(又は法人番号)を記載することになるのだ。

 つまり、税務申告していれば当然だが、申告のない法人でも、誰かにお金を払うとき、その手続きの際に、従業員等のマイナンバー等を記載する必要があるのだから、お金を1円も払ったことがないという幽霊法人以外は、今回ばかりは逃げ道がないことになる。

 税務署に申告している法人は、税務署等に提出する法定調書等(給与所得の源泉徴収票、報酬等の支払調書など)に、個人のマイナンバー(又は法人番号)を記載する必要がある。

 気になるのは、マイナンバー制度がどんどんエスカレートしていくことだ。
 例えば、法人は例外なく、個人事業主でも5人以上の従業員を雇用している場合は、社会保険の加入が必要だが、これは法律で定められていても、今まで罰則がなかったので、かなりのNPO法人などは社会保険未加入であることが多い。しかしながら、法人番号も制度化されるので、今回のマイナンバー制度が導入されるとこれまで誤魔化してきた情報が一元化されるので、あっという間に社会保険未加入のまま事業をしていることがわかってしまう。
 国は厳しい財政状況の中、このような法人を一斉に加入させて、社会保険料徴収UPを図ることだろう。

 さらに、富裕層には大打撃かもしれない。企業の会長や顧問などは、会社の第一線を退く際に、年金が減らない程度の給料にしていることが多い。オーナー社長なら、息子が社長になった時に、自分は会長になり、年金が支払われる限度額の給料を設定するのだ。そうすると、給料ももらえるし、年金ももらえるので、バラ色の余生を送れるというわけだ。
 だって、その他の会社や顧問先、講演先から収入があっても、今まで社会保険加入していた会社しか調査は及ばなかったので、OB会社の給料が10万円で、その他の給料が300万円あっても、年金は支払われていたのだ。

 しかし、マイナンバー制度で、すべての収入が一元化されるので、そういう人にはもう年金が支払われなくなるのだ。
 そうなのだ。そういう人こそ、現役時代給料が高かったので、普通の人の年金額の数倍はもらっている。そして、こういう人たちの年金がストップできるというのは、国にとっては、ものすごく良いことだと思う。マイナンバー万歳だ!
 なーんて、私も同じことしようと思っていたので、本当は頭が痛いのだが・・・(笑)
 さらに、もっとすごいことがある。
 それは、仮名口座(他人の口座)の洗濯だ。昔は銀行の口座を作るのに本人確認書類がいらなかったので、飼い猫の名前や偽名で口座を作ったり、本名でも、生年月日や住所が違ったりして、誰の口座なのかわからない口座がかなり日本には存在するのだ。
 それらも3年後から手をつけそうな感じである。すごいぞ、マイナンバー!

   以前、私に、他人の通帳を何十冊も見せびらかして、「この口座にバイト代払っているけど、みんな俺のへそくり」なんてえばっていたあなた!! もうそれはできませんよ~(笑)

 さあ、どちらさまもマイナンバー対策は終わっていますか?完全管理措置規程は作りましたか?
 終わっていない法人は至急お電話ください!!もちろん、これは営業ですがね(笑)

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年8月)

第140号 日本経済って大企業のこと?

 よく、賀詞交歓会などに行くと、国の役人と東京都の役人が揃って祝辞を読むことがあるが、あれが結構面白い。
 国の役人、特に経済企画庁などから出てきた人は、どんな時でも「アベノミクスの成功により景気は急激に回復し、企業の利益と国民の所得は大きく伸びている・・・」などと安倍さんをよいしょしながら、自分たちのやっていることは正しくて、相当成功しているとえばっているのだが、東京都の役人になるとちょっと違う。
 「景気は緩やかな回復はしているものの、消費税増税や少子高齢化などの影響で、庶民の生活はまだまだ厳しく・・・」と国の政策をちょっぴり批判しながら、まだまだ市民はまだ豊かではないということを主張している。
 どちらが正解かは誰の目に見ても明らかだろう。
 企業の99%が中小企業であり、そこで働いている国民は全体の70%なのだ。だから、企業の行政は好調であり利益は大幅に増えている・・・という話を聞いても、うなづくのは3割の人たちであり、7割の人は首をかしげるわけだ。さらに、働いていない人も含めると、9割の人は「えー、生活が苦しいのは私だけなの?」となってしまう。
 そうなのだ。日本経済のことを語るときは、9割の人を相手に、1割の人の会社の景気の話をしているから、みなピンとこないのだ。
 だから、いっそのこと、大企業のことをニュースにするのをやめて、中小企業の景気だけを日本経済の指標にすれば、みな「そうそう」とうなづいてくれるのに、政府も経済界もメディアも絶対にそれはしないからややこしい。
 もし、中小企業の指標だけで経済ニュースを作ったらこうなるだろう。
 「我が国の経済は、戦後最悪の状態に落ち込んでおり、所得も年金も徐々に下がり続け、その反面税金だけが上がり、市民の生活はますます苦しくなっています。今後ほとんどの国民が貧困化に陥り、日本経済は完全に破たんします」と。
 どうして本当のことを言わないのか不思議だが、そろそろ言っておかないといけないのではないだろうか。
 ある大臣経験者である有名大学の教授はすでに生徒に「君たちは間違いなく年金はもらえないから払わないほうがよい」と教えているそうだ。
 この人だけは本当のことをしゃべってもよいのだろうか?
 今年度の国民年金の平均支給額は月5万円ちょっとで、サラリーマンなどの厚生年金は月14万円ちょっとだが、サラリーマン出身者でも都内で家賃や生活費を払ったら、ご飯を食べることがぎりぎりできる程度だ。国民年金の人たちは、家賃を払ったらご飯はまず無理だろう。
 つまり、今でも年金で暮らしていくことはできないのに、将来暮らしていくことができるとなぜ言い続けるのだろうか?
 かの教授も、大臣をやっているときになぜその話をしなかったのだろうか。年金はもらえませんと。
 私の予想では、年金は現在よりも半減し、恐らく月に2万円ちょっとまで下がると思う。もちろん厚生年金も同じく半減だから7万円ちょっとだ。
 ということは、年金は納めずにコツコツ貯金したほうが良いということになるが、それを言ってしまったらおしまいだ。だから、現役世代が自分たちを育ててくれたOB世代に感謝しながら、OBの年金を払ってあげていると思えばよいのだ。
 どんどん景気が悪くなって生活が苦しくなったら、そんな時代にしてしまったOBへの感謝も小さくなるだろう。だから年金は減ると思えばよいのか。
 多くのメディアはこんな危機的状況の中でバカみたいなバラエティ番組ばかり流しているが、NHKだけが違う。ワーキングプアから始まり、孤独死、無縁社会、貧困、生活保護など、今後の日本がどうなるのかNHKスペシャルという手段を使って、いつもこっそりと教えてくれている。
 だから、この番組は政府が国民に暗に示していると思って絶対に見てほしい。そして皆で防衛策を考えよう。

 ※「老人漂流社会」-親子共倒れを防げ 総合 8月30日(日)午後9時から

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年7月)

第139号 国は貧困化対策に全力を!

 埼玉県北本市立の中学校4校が、3カ月未納が続いた場合は給食を提供しないことを決めたところ、該当する保護者43人のうち、納付の意思を示さない保護者は3人に激減したという。

 生徒1人あたりの給食費は月4千5百円で、払えるのに払わないとみられたため強硬手段に出たようだ。給食費は全額が材料費で人件費にもなっていないのだから、払いもせずに給食を食べさせるなんて図々しい親もいるもんだ・・・と思ったが、どうもそうではないようだ。貧困化がひたひたと押し寄せているのだ。

 そして、高齢者の貧困化も急激に進み、「下流老人」は将来90%に達するのだという。
 90%と言えば、これを読んでいる人も、この近くを歩いている人も、隣近所の人もほとんど下流老人になるのだろうか。
 下流老人とは生活保護レベルのことを言うらしいが、なぜ年金があるはずの高齢者がそうなるのか。
 理由はやはり核家族化のようだ。昔なら子ども夫婦に扶助してもらうことが当たり前だったが、今は頼りの子どもが派遣切りやニートで、さらに親が病気になったら、まず確実に下流老人だ。
 生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典さんの著書『下流老人』によると、高齢者が貧困に陥るパターンを五つに大別している。

 【1】本人の病気や事故により高額な医療費がかかる
 【2】高齢者介護施設に入居できない
 【3】子どもがワーキングプアや引きこもりで親に寄りかかる
 【4】熟年離婚
 【5】認知症でも周りに頼れる家族がいない

 思い当たる人も多いのではないだろうか?私だって、将来1と2に該当するかもしれない!えっ、3~5もあり得るって?確かにそうだ。可能性はある。でも、あなたも同じでしょ?

 誰だって貧困化する可能性をはらんで生きていくしかないのだろうか。年金を納めていない人も多いが、納めていても年金だけではどうやらだめらしい・・・。

 生活困窮者支援と言えば昔からNPOだが、ホームレスの支援だけではなく、今後はすべての国民が対象になるのだから、NPOが細々とやっているだけではダメだ。
 国は早急に生活困窮者対策を制度化して、生活扶助制度ではない新しい生活困窮者支援に取り組んでほしい。そしてそれをNPOにやってもらうのだ。
 例えば公的な高齢者施設をすべて生活困窮者センターに名称変更し、国民全体に及ぶであろう貧困化対策を抜本的にやるべきだ。もちろんそれを公務員がやるのではなく、NPOに託して。NPOなら新入社員も経営者も同じ給料でやっていけるからだ。働かない役員に報酬なんてもちろんない。
 今後公務員は増やさずに、多くの公的な仕事はNPOを通して貧困化する層に割り振ったら、今の歳出の3分の1で、今のサービス水準を大幅に向上できるだろう。

 下流老人が90%になってからでは遅い。今から始めてほしい。
 そうでもしないと、全国民が給食を食べる時代が来てしまうだろう。そして、5千円弱の給食費が払えずに、道路に立たされる大人の光景が目に浮かぶ・・・。それが私ではないことを祈る。

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年6月)

第138号 ついに到来! タダで家売ります!!

 私の予言が悲しいことに当たり始めている。そう、人口減が予想よりも急激に進みそうなのだ。
 その序曲は、政府がついに配偶者控除の撤廃をほぼ決めたことだ。これにより、働くお母さんが急激に増え、というか、子どもを作らない夫婦が当たり前となり、予想以上に人口減が進行しそうなのだ。もちろん、その分、子育て支援を強化するということだが、103万円ショックはそんな簡単なことでは収まらないだろう。

 それを待たずに地方では大変なことが起きている。そう、人がどんどん減って空き家が急激に増えているのだ。それを見越して政府は、昨年「空家等対策の推進に関する特別措置法 」を作り、そのまま放置すれば倒壊の恐れがあったり、衛生上著しく有害となる恐れのある空き家などを「特定空家等」と位置づけ、撤去や修繕を命令したり、従わない場合は、行政代執行によって更地にしてしまうことができるようにした。更地になれば、今までほったらかしにされた空き家の固定資産税が一気に上がるのである。そして、空き家除去などの措置を勧告できるのはこの5月26日施行だ。

 さて、東京では空き家はそれほど多くないが、地方では2軒に1軒が空き家という場所もある。これから、少子高齢化が進んでいくとますます空き家が増えてくるのだ。空き家だけではない。三~四十年経た昔の古い住宅団地やマンションは、相続した子供がそこに住まず、売ろうにも売れず、そこも誰も住んでいない空き部屋だらけになってしまうのだ。

 そしてついに、私の予想よりも3年早く、ついに家が0円で売りに出され始めたのだ。まず、熊本県天草市の中古一戸建だ。タダだから「売りに出す」というより「あげる」が正しい。もちろん、「タダより怖いものはない」ので、きっと自殺物件か幽霊でも出るのかと思うだろうが全く違う。なんと美しい海が見えるちょっと古い一軒家なのである。新鮮な海の幸もいつでも食べられる地域。だから普通は500万円位で売買されるのだろうが、この物件はたまたま接道が悪く、駐車場が作れないのである。田舎で車が止められないのは致命的なのでタダになったらしい。

 しかし、これはあくまでも序章に過ぎないと思う。実際、若者憧れの地であった苗場のマンションはほとんど十万円で売りに出ているのをご存知だろうか?
 このような0円はやがて当たり前となり、私の予想では、そのうちお金を払うからもらってくれという時代が来ると思う。ジャパネットタカタの社長ばりの声高の人がテレビで「今回は特別に!この車も付けて0円。さらに三百万円のリフォームチケットもお付けします!!」
 きっと、私が生きているときにその日は来るだろう・・・。

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年5月)

第137号 NPOも儲けていいの?

 政府は、今年2月、中小企業信用保険法の一部改正を行い、中小企業と同様に事業を行い、地域の経済や雇用を担うNPO法人の事業資金の調達を支援するため、中小企業信用保険の対象に一定のNPO法人を追加することを決めた。
 簡単に言うと、今までは、特定の信用金庫などを除いてNPOが銀行からお金を借りようとすると、非営利つまり儲ける構造ではないのでなかなか貸してくれなかったけれど、これからはどの銀行も、信用保証協会が保証してくれるので、貸しやすくなったということになる。
 もう、都市銀行で門前払いされることもなくなるのだろうか・・・。
 では、なぜ国はNPOにお金を貸せるようにするのだろうか?
 それは、高齢化と人口減で歳入が減り、社会保障がどんどん低下していくことが予想されるため、国や自治体のやらなければならない仕事を代わりにやってくれそうなNPOを無視できなくなったのだ。地域経済の活性化や雇用の拡大を図るためには、中小企業と同様にNPOは無くてはならない存在になったと言っても過言ではない。
 今、中小企業と同様に事業を行って頑張っているNPOも徐々に増えてきているが、その多くは信用力に乏しく金融機関からの借入が困難な状況である。
 しかし、今回の法改正で借り入れがしやすくなるのであれば、今までのように、資金繰りを考えてあえて株式会社にして社会事業を行う必要がなくなるであろう。
 さらに、地域住民の参加を条件に、自治体などの後押しがあれば、家賃がタダになったり補助金が出たりするだろうから、社会事業をするなら株式会社よりもNPO法人がお得ということになる。
 さて、お金を貸してくれるということは、事業で儲けて返済しなくてはいけないのだが、NPOって儲けていいの?という人も多いのではないだろうか。
 実は、社団も財団もNPOも大いに儲けていいのだ。NPはノンプロフィットの略だが、利益はダメという意味ではない。利益を配当したり分配したりすることはできないという意味だ。
 だから、介護事業で1億儲けても、保育事業で3億儲けても、全く問題ないのである。
 さらに、登記の時の登録免許税がかからなかったり、高齢者障がい者等の雇用が全従業員の半分以上であれば法人税がかからなかったり、NPOはかなり恵まれている部分も多いので、これからのベンチャービジネスは、株式会社ではなく、むしろNPO法人にシフトしてくるのではないだろうか。
 さあ、NPOの皆さん、まずは銀行に行ってみよう!おっと、その前に、お金を貸したくなるような先駆的で斬新なビジネスモデルを考えることを忘れずに!

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年4月)

第136号 役員に幽霊はダメよ!

 先月、商業登記規則が久しぶりに改正になり、法人を設立する時や役員を変更する時の添付書面に大きな変更があった。

 主な改正点は3つ。
 一つは、設立時や役員変更時の理事や監事等の就任承諾書記載の住所を証明するため、代表理事など印鑑証明書を添付する者以外でも、住民票や印鑑証明書等の公務員の作成した証明書を添付しなければならないということ。
 ということは、今までは不要だったので、名前と住所を書けば、誰でもというか架空の人物でもそれで登記することができたのだ。
 つまり、東京タワーの住所を勝手に使い、売寅万などという人物で登記することができたのだ。
 さすがに、架空の名前はあまりなかっただろうが、よくあったのは、住所を知らせたくないということで、就任承諾書に勤務先の住所などを書く人がいたことと、承諾なしに、勝手に名前を使う人がいたこと。
 住民票をつけることで、これが許されなくなったのだ。これで、登記遅滞などで過料を科すときに、代表者がトンずらしても、役員を辿って行けば、どこかでは払ってもらえるという、そういう効果もあるだろう。法務局にとっては都合がよくなる。
 ただし、法人の事務担当者は、今後登記をする際は、住民票を忘れないようにしたほうがよい。

 次に、代表者が辞任する場合、辞任届に実印の押印と印鑑証明書の添付が必要となることになった。ただし、法務局に印鑑届出している代表理事は法人実印でもよいが・・・。

 三番目は、役員が婚姻している場合、必ず婚姻後の氏名を記載することになっていたのだが、婚姻前の氏名も併記できることになったのだ。
 女性役員の場合、結構婚姻前の氏名で通常仕事をしている人が多い。しかし、登記は婚姻後の正式な氏名のみだったので、「この人誰?」ということがよくあったのだが、そういう心配はなくなったのだ。でも、婚姻後の氏名の後にかっこで示されるだけだから、いっそのこと婚姻前の氏名だけでも登記できるようにすればよいのに、そのあたりはあまり融通が利かない。女性の役員割合を大幅に引き上げようとやっきになっている安倍さんにしてはちょっとボーンヘッドだ。
 まあ、国のやることだからしょうがないか・・・。

 さて、これとは別に、NGO団体などに大きな関係がありそうな変更が予想されているので、覚えておいてほしい。
 それは、外国人が日本で事業を始めやすい環境を整えることを目的に、外国人が日本国内で法人を設立する場合、今までは代表者のうち少なくとも1人が日本に居住していることが要件だったのだが、これを撤廃するらしい。さらに、起業家向け在留資格の要件も緩めることを決めているのだ。
 居住要件の撤廃が実現すると、経営陣が外国人だけでも日本で法人をつくれるようになる。そうなると、いきなり日本人役員を雇用する必要がなくなり、まずは外国人だけで法人を運営し、それから日本人を雇用して、適性を見極めてから役員等に昇格させるといった技が使えるようになる。

 こうなると、日本にどひゃどひゃ外国会社や外国団体が押し寄せてきて、うまくいきそうだったら事業を展開し、ダメだと思ったらすぐに引き上げるという、そういう潮流になるかもしれない。
 黒船来航から160年余が過ぎ、新たる黒船が襲来しそうな気がする。日本の法人の正念場だ!

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年3月)

第135号 いよいよ誕生! 営利NPO法人?

 公益・一般法人やNPO法人の理事などから「非営利法人は出資者を募って配当を出せないのですか?」と聞かれることがよくある。答えはもちろん「NO」だ。非営利とは分配できないという意味で、寄付や貸借はできても配当が出せないのである。
 そう答えると、たいていの理事さんは「じゃあ、なかなかお金が集まりませんね」となる。
 しかしだ! ついに、それができるようになりそうなのだ!

 実は、NPO法人や公益法人の法律を変えるのではなく、全く新しい法人格を作るということなのだ。それが、新しくできる非営利法人で、名前はなんと「ローカルマネジメント法人」というらしい。
 なんだか、都会には関係なさそうな法人格だが、まさにその通りで、政府の最大の関心ごとである地方創生のプランの一つなのだ。
 この法人格の凄いところは、非営利目的のNPOと、営利目的の株式会社のそれぞれの良さをあわせ持つ仕組みにするところ。
 つまり、NPOなどの非営利法人は税制優遇を受けられるが、利益を投資家に分配できないので資金集めは寄付金や会費に頼らざるを得ないし、株式会社は利益追求が目的だから、あまりもうかりそうでもない「世のため人のため」の仕事は手が出しにくい。
 しかし、今度のこの法人は、営利を追求してよいNPOとして、いくら儲けてもよいのだ。何ともおいしい話ではないか。

 具体的には(1)公益事業と同時に収益事業も拡大できる(2)利益を配当として投資家に分配できる(3)税制上の優遇措置を受けられる――という3点が骨格になる見通しだ!

 もちろん、名前からして、地方を対象にしているのだが、きっと日本全国どこでも設立できるようになるだろう。
 もっぱら、ローカル線を運営するバス・鉄道などの交通インフラを担う第三セクターが地域に根差した福祉施設を同時に運営するときにこの法人格を使わせるはずで、半官半民のような第三セクターを一気にこの法人格に移行させるようだ。

 といっても、誰でも作れることになるだろうから、資金集めに苦労している福祉系をはじめとしたNPOや一般法人には大きな衝撃を与え、ほとんどこちらに移行しそうな気がする。

 こりゃ、我が社もこれから大忙しだ!!

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年2月)

第134号 今年の日本はどうなるの?

 明けましておめでとうございます。今年も私のコラムにどうぞお付き合いください。

 さて、ひつじ年だ。ひつじ年は景気が悪いなどと言われているが、うちはとっくに景気が悪いから、そんなことは全く関係なく、楽しみな1年である(笑)
 というが、やはり気になるのが今年はどうなるのだろうかということだろう。
 しかし、それが簡単にわかる方法がある。
 それは、政府はどう考えどうしたいかを裏読みすればよいのだ。まずは、昨年末の総選挙の後に、新しい内閣が誕生したが、すぐに基本方針を打ち出しているので、それを裏読みしていこう。

 1.復興の加速化
 まず何よりも、「閣僚全員が復興大臣である」との意識を共有し、省庁の縦割りを厳に排し、現場主義を徹底することにより、被災者の心に寄り添いながら、東日本大震災からの復興、そして福島の再生を、更に加速していく。
 ・・・まあこれは、憲法の前文のようなものだから次にいこう。

 2.経済の再生
 デフレからの脱却を確かなものとするため、消費税率10%への引き上げを延期する。平成29年4月からは確実に引き上げ、経済再生と財政再建の同時実現を目指すとともに、世界に誇る社会保障を次の世代に引き渡す責任を果たす。
 ・・・消費税を延期するためにわざわざ無駄遣いして選挙までしたのだから、そりゃ当然だ。
 しかし、今度は「確実に」と書いてあるので、間違いなく2年後は増税だ。そうしなければ、「社会保障なんて責任持てないからね」という意味なのだろう。

3.地方の創生
 若者が、将来に夢や希望を持つことができる、魅力あふれる「まちづくり、ひとづくり、しごとづくり」を進めることにより、元気で豊かな地方の創生に全力を挙げる。
 そのため、家族や地域の「絆」の再生に取り組むとともに、人口減少や過疎化といった地方が抱える構造的な課題にも、真正面から取り組み、その克服を目指す。

 ・・・ここが最大のポイントなのだろう。人口減少と地方の過疎化を防がないと、「若者の将来はないよ」と言いたいのだ。私が常に言っていることだ。今後人口減少や過疎化を防ぐために、政府はありとあらゆる方策を取ってくるだろう。しかし、「まちづくり、ひとづくり」というフレーズはまさに非営利団体の専売特許。つまり、地方創生と人口減対策こそ、非営利団体の最大のビジネスチャンスではないか。ぜひそのために動き出してほしい。

 4.「女性が輝く社会」の実現
 すべての女性が、生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会を創り上げる。そのため、社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上にするとの目標の確実な実現に全力を挙げる。また、家事や育児に専念してきた女性が、その経験も活かしながら活躍できる環境を整える。
 ・・・非営利団体はとっくに女性上位だし、女性過密社会だから関係ないが、企業はまだ女性の社会進出が遅れている。なので、これは企業向けの話だが、これは諸刃のやいばだ。女性を家事や育児から解放し、キャリアウーマンに育て上げるだけでは、先の人口減少や地方創生に逆効果だということに政府はまだ気が付いていないのだ。子どもを減らしたいほど増えていた時代はどういう時代だったのか考えればわかるだろう。政府はもう少しまともな学者を呼ぶべきである。なむさん。

 5.教育の再生
 日本の将来を担う子どもたちは、国の一番の宝である。すべての子どもたちが、笑顔で暮らし、その無限の可能性を開花することができる日本を、取り戻さなければならない。
 多様な価値に対応できるよう複線的な教育制度へと改革を進めるとともに、家庭の経済事情に左右されることなく誰もが希望する教育を受けられるよう、一層、教育の再生を力強く推進する。
 ・・・JAの解体をほぼ確実にした勢いで、次のターゲットは日教組だ。日教組を解体することこそ教育改革だと思っているふしがある。まあ、あえて否定はしないができるかな・・・。
 ただ、最後の「誰でも希望する教育」というところは非営利団体の出番。聞くところによると、私と同じ塾長出身の下村文科大臣は、引きこもりやいじめ対策として「フリースクール」に相当力を入れたいらしい。6・3・3・4制は恐らく崩れるだろう。センター試験もなくなるし、かなり日本の教育制度は変わるかもしれない。
 本当は、入るよりも出る方を難しくするだけで教育改革は簡単にできるのだ。今の政府にはまともな学者が付いていないことがよくわかる。

 6.暮らしの安心確保
 平成26年8月豪雨や御嶽山噴火をはじめ、大雨や大雪など自然災害によって、全国各地で甚大な被害が発生したことを踏まえ、引き続き高い緊張感を持って、大規模な災害やテロなどへの危機管理対応にも万全を期すとともに、これまでの災害を教訓に、制度改正なども含めた、事前防災のための国土強靭化を推進する。
 ・・・これも聞くところによる話だが、政府は大規模災害が10年以内に来ることをすでにキャッチしているらしい。それが富士山の爆発なのか東海沖地震なのかわからないが、かなり水や食料の備蓄を進めているそうだ。映画でよくあるが、「地下都市の建設」も近い将来実現するかもしれない。というか、防災や災害救援活動もこれまた非営利団体の独断場。ぜひ個々の団体が「点」の活動をするのではなく、「線」や「面」となるような連携を進めてほしいと思う。
 最後は外交についてだが、とくに目新しいものはないので省略する。

 さて、この基本方針を読んで皆さんは何を思うだろうか。特に目新しいものはないと思うかもしれないが、一番力を入れているのが「人口減対策と地方創生」だ。先の税制改正大綱で東京都以外に本社を移転すれば法人税を減税することを決めたが、東京一極集中を防ぐためには、それよりももっと痛みを伴う改革が実行されるかもしれない。
 東京以外の学校に通ったら子育て手当を出すとか、東京以外の人と結婚したら結婚手当を支給するとか・・・。
 一番効果的なのは、「東京以外のお店で購入(サービスを利用)したら消費税がかからない」だろう。こうすれば数年で東京から企業が消えてなくなるはずだし、住民も去って行く。
 首都移転とか道州制に莫大なお金を掛けなくても、たった一つの法律で税金を1円も使わず、日本が救われるのだ!

 さてと、私もそろそろ引越しを検討しようかな・・・(笑)

特定非営利活動法人国際ボランティア事業団 理事長
田園調布学園大学 講師 福島 達也
(平成27年1月)
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