◆避難者に「成人式」贈る 下京のNPO◆
  東日本大震災で府内に移住し、避難生活を送る新成人に振り袖を贈り、新たな門出を迎えてもらおうと、NPO法人「京都SEINEN団」(下京区)が20日、中京区のゼスト御池で“手作り成人式”を開いた。同NPOが、たんすに眠る古い着物の提供を呼びかけ、売却した収益などで振り袖を購入。真新しい着物に袖を通した新成人を、関係者ら約30人が祝福した。(二谷小百合)
 同NPOのメンバーらは、10月に宮城県沿岸部の被災地を訪問。横倒しになったビルや、12人が亡くなったという建物に花が手向けられている様子など、地震と津波の爪痕を目の当たりにした。
 メンバーに呉服関係者がいたことから、「傷を負った若者に心を癒やしてもらいたい」と、振り袖の贈呈を計画。購入資金は、府民らに呼びかけて集まった古い着物を売却した収益などを充て、福島、宮城両県から避難してきた女性3人に贈ることにした。
 この日は3人のうち、亀岡市の永井友梨さん(20)が出席。永井さんは昨年4月、両親や弟妹と家族7人で福島県いわき市から亀岡市に移住し、南丹市の通所作業所に勤務している。
 明るい水色の生地に桜やボタンがあしらわれた華やかな振り袖をまとい、ボランティアに着付けをしてもらった永井さんは「きれいにしてもらってうれしい」と笑顔。清水三雄理事長が「立派にこれからの人生を築いていってください」と語りかけると、「ありがとうございます」と力強く答えていた。
 娘の晴れ姿を前に母・由美子さん(43)も「いわき市の家にある自分の着物を着せたかったが、なかなか戻る機会がなく、どうしようかと思っていた。誰も知らない土地に来て、このように成人式をしていただいて本当にありがたい」と感激。
 清水理事長は「自分の娘が成人式を迎える気持ちになって、多くの人が着物を提供してくれた。今後も何らかの形で、避難している若者に勇気を届ける取り組みを続けたい」と話している。
読売新聞 2012年12月21日‎
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